norikura’s diary

ocn さんの blog Cafe から越して来ました。どうぞよろしく!

「音楽室で」-あ ぽえとりー

   音楽室で(ver.1)

 誰もいないオンガク室で 静まり返った音楽室で
 ひとりひっそりぴあのを鳴らす
 ラの音ミの音シの音ドの音
 たったひとつ人差し指で
 ぽろりぽろぽろ ぽろぽろぽろと ピアノを鳴らす

 外は星空町の灯りが遠くに見える
 ぴあのの周り明るく照らし ぼくひとり静かな一室で
 月の灯りの常夜灯
 皆の帰ったオンガク室で ぼくただひとりきり
 スポットライトを浴びて 小首傾げた月の喝采受けて
 ひとりぽろぽろぴあのを鳴らす

 ショパン、リスト、ラフマニノフ
 たったひとつ人差し指で
 ぽろぽろと寂しい音でぽろぽろと
 もずが一人で泣く様に闇夜を引き裂く様ににぴあのを鳴らす

 少し音程のいかれた木のぴあの
 防音コルクの音楽室で 闇とおんなじ無音室の 無機的な楽器の部屋の中
 ひとりぽろぽろぴあのを鳴らす

 ほんの幼く見えるか弱い指は
 とても音符を追うのにたどたどしくて
 そんな音が部屋の空気を振動させて
 ぽろりぽろぽろと響きます

 夕暮れの町を見渡す音楽室のたったひとりのコンサート
 何時の間にか時間が過ぎて真夜中過ぎになりました
 外は何時の間にか雪になり
 しんしんと雪が降り始めました
 時間が経っても相変わらず静かに雪が舞い降りています

 月と雪だけの光の中で
 ストーブの襞だけが赤々と
 艶の有る黒のぴあのに映ります

 静かな静かなたったひとりのおんがくしつの
 それはたった一人のコンサート
 今日もまた昨日と同様に
 ひとりぼっちでぴあのを鳴らす