norikura’s diary

ocn さんの blog Cafe から越して来ました。どうぞよろしく!

詩「殿様バッタが見つめる空の色」

 どっちかのblogに載ってないと思うけど詩の掲載を再び始めました。もう7・8年前の作です。

    殿様バッタが見つめる空の色

黄色い梨の萎びた芯から 傘の衣文の取っ手が伸びて
空に向かって口笛吹けば
斜めさざめく鱗雲の 遥か彼方に 夕日が2つ

雪の上に続く足跡一つ 寝乱れ髪で辿ってみれば
駅の脇の喫茶店に 鄙びた女の笑い声

伸びる線路の枕木一つ外れた砂利の下
青い雪が白い空からチラチラ落ちて 線路の鋼鉄積もって凍る

引き出しの中の空間に フタの開いたブリキの空き缶
ポケットの隅の隙間から 雪掻き進むラッセル車
停車場に残された剥がれたポスター
切符売りの悲しげな声

公園のベンチで俯く少年 くっくと喉を鳴らす2羽の鳩
落ち葉だけが吹き抜ける劇場の裏庭 とても追い着けない濁流の船
マドロスの持ったパイプの先の 空虚な幸せ

横になった殿様バッタが見つめる 秋の空