鳥類図鑑onWeb(シラコバト、コクマルガラスの行動学)
シラコバト…ハト目ハト科
[学名]Streptopelia decaocto stoliczkae(Hume)
[英名]Eastern Ring-dove
[別名]シラバト、ジュズカケバト
[形態]嘴峰15~17mm。翼長159~180mm。尾長124~146mm。跗蹠21~25mm。全体淡灰褐色。後勁から勁側にかけ黒色勁輪顕著。尾は、中央の一対淡灰褐色、他は白く基部黒。
[生態]囀りはポッポ、ポッポ、ポーの繰り返し。関東平野の一部のみ生息。人家付近の粗林や竹薮などに営巣。人を恐れない。イネ・ヒエ・コムギなど地上で漁る。
[巣]竹薮や雑木林のツバキの枝などに。小枝で。直径30~53センチ。浅い皿形の。粗雑な。
[卵]3~7月。の地。純白。30×23mm。2個。
[分布]埼玉県越ガ谷を中心とした関東平野の一部にのみ分布。絶滅手前。天然記念物。
[エソロジー]「ヒトと動物」(「ワタリガラスの生活」(コンラート・ローレンツ)より)
1 番を形成するための出会い。鳥類では、系統上の類縁関係とは無関係である。
平行現象(鳥類と魚類、2種の連関)の場合、収斂現象が問題になる。
2 番形成の第1。両性間で、順位関係が無い。
第2。両性の本能行動を自由に使い、A・A・アレンの呼ぶ「劣位性」。
3 第1。対等。
アオサギ。両性で異なる本能行動だけが、番を形成させる。
ゴイサギ。両性で同じ。
4 キノボリウオ。特定の1個体が、将来の伴侶を決定する。が、両性の外見が同じ。
飼育下で、同性の番。
と、同性による番い形成阻止の様式。
5 1~4を踏まえ、ワタリガラスを述べる。
6 キノボリウオ型。性のパートナー選択。「ほれこみ」の過程は予め決まっている。
行動転換し、複合型は無い。
7 ハトの「ほれこみ」。W・クレイグによる観察。威嚇と求愛。性的と立場的と。
ハインロートの「威圧の身振り」=他のオスへの威嚇機能と逃避、メスに対する求愛機
能。
コクマルガラスにも。
隔離・順位のトップのメスがオスとしての反応。だが、防ぐ機能が。
8 アビ類、サギ類、ハトなど。何も分かっていない。ただ、メスを凌ぐオスの体格が。
9 アメリカのエリマキライチョウ。A・A・アレンの指摘。強いメス、打ちのめされたオ
ス。倒錯が。
10 行動と生殖腺成熟の関係。二律背反型の鳥類。メス番いでオス行動のパートナーが
産卵。ハト、チリーのカモ。ニワトリ。エリマキライチョウ。迫害されたオス。
11 体格の他、オスの目立つ装い。ダーウインのよるメスの吸引効果。エリマキシギ、
クロライチョウ、クジャク、ゴクラクチョウ。社会的な求愛。また、同性への威嚇
に。それは、爬虫類・魚類でも。
12 ハインロートが観察したアメリカオシの例。
オスは順位の低い個体に対してのみ、メスは上位の個体に対して恋をする。セグロ
カモメにおいても。ゲーテの観察。重量の多寡。
14 グレイグによるジュズカケバトの観察。ローレンツによるコクマルガラスの複雑な
番い形成。倒錯。
15 夫婦間で順位が生じない多数の鳥。「一心同体」。
16 儀式となった順位闘争。キノボリウオ、シクリッド型のサカナなど「恋の遊び」。
それらは、各個体が両性の完全な本能的資質を意のままに出来る唯一の動物。
17 ワタリガラスの番い形成を理解するために1~16が必要だった。
あらためて、番号をリセットします。
1 生殖能力を持つかなり前に性的反応を示す。-求愛状態に入ったり、他のカラスに番お
うと試みる。頭を低くさげる。翼や尾羽根を忙しくあちこち震わせる。
2 種仲間とで。威圧の身振り。歩み寄る。お互いの周囲を回る。大きな間隔で互いに並んで
歩く。「威圧」しようとする。独特の絞り出すような低い声を発する。ハインロートは
「アウ」「ラウ」と模写。「チユルルルウア」。緊張。体を前にぐっとかがめ、尾羽を
広げ、小翼羽を体から引き離す。極端な大声も。頭の羽毛を極端にさか立てる。それは
「挨拶儀式」近づき、互いに軽く迫り合う。威圧の行動。オスとメスの役割は確定して
いない。
3 宣戦。表現運動。頭の羽毛を急に密集。2つの羽の角。
4 そのままで闘争に移らず、一方が譲歩する。身を引く。絶えずお辞儀と「チユルルウ」
鳴きしながら大股に歩く。追跡者と退却者。
5 一日中の中で別行動へ。独特な喉をしぼる運動。著しく羽毛を逆立て頭を長く前方に
伸ばし水平に保つ、「チュリュユユ」の繰り返し。微かな高い鼻声調の声。翼を広げ後へ
伸ばし、引き締め、瞬膜で眼を覆い、突然白い眼を現す。盲目にする働き。メスは譲歩
6 喉を絞る運動は、「リリーサー(解発因)」。応答的な本能行動を解発。
7 メスは、挨拶の儀式。徐々に平たく低くなる。翼と尾羽を小刻みに震わす運動。交尾。
低く掠れた調子で呼ぶ。ズキンガラスでも同様な行動が。行動の停止。オスが近づく。
オスは、鼻歌。頭を前に伸ばす。メスは恍惚とした尾羽の小刻みな震え。
8 突然正気に戻り、一緒に飛び去る。
9 最初のカラス番いでは、そこに至らず。番いになる前に未知か、決定的な順位関係にな
いことが必要。
10 メスの服従、オスの追跡さえ見られなくなった、まったく妨害の無い親密さ。彼ら
間の順位関係を確立するのは殆ど不可能。ハトでは違う。
[コメント]
暫く間隔が開いてしまいました。ティンバーゲンも休みです。歌もです。申し訳ないです。